組織経営でもっとも辛い状況の1つが人不足の悪循環です。
人不足の悪循環とは何なのか、そしてそこから抜け出すための具体的対策についてまとめました。
人不足の悪循環とは(見出し)
人不足の悪循環とは以下の負のループのことです。
- 人材が不足して現場が切迫する
- 急募で人を募集する
- 早く充足させたいのでとにかく採用してしまう
- 採用した人材と組織とでミスマッチが起きる
- 結果、早期離職するか、採用した人材の影響で既存職員が離職する
(①に戻る)
働き手不足が加速している現状では結構起きがちだと思います。ただ、一度はまるとかなり厄介です。特にまじめな職員や責任感の強い職員に影響がでます。
人不足の悪循環は組織にとって脅威の経営リスクと言えます。
人不足の悪循環からの脱出
私も人不足の悪循環を経験したことがあります。その頃は本当に人が不足していて、それでいて応募してくる方も少ない状況でした。
採用面接をしても「うちには合わなそうだけど、人がいないししょうがないよね。」といって応募してきた方をほとんど採用していました。
その結果は散々たるもので、冒頭の人不足の悪循環そのものでした。
入職した人材は早期に辞め、負担がかかった管理者や幹部職員が辞めるという状況でした。その頃の離職率は25%に達していました。
目先の採用での対策ではダメだと覚悟を決め、組織改革に着手しました。
もちろんすぐに結果は出ません。それでもコツコツと改革を勧めました。
ある時、「そういえば最近人が辞めなくなった。応募も増えてきて、採用する人を選べるようにもなってきた。」という状況になっていることに気が付きました。
25%もあった離職率は6%へと劇的に改善していました。
採用定着ではなく定着採用の順番
人不足の悪循環から脱出するための第1歩は発想の転換です。
人材が不足している時、どうにかして早く採用し充足させないとと考えます。もちろんそれは間違いではありませんし、必要なことです。
でも人材不足になってしまった根本の原因は何でしょうか。人材が辞めてしまったことのはずです。ここに手を打たずして人不足の悪循環からの脱出はあり得ません。
人が辞める風土では入れても入れても人が辞める
離職率が高い組織では人が辞める風土が出来てしまっています。新たに採用して入職しても不満を抱えたり、自分には合わないと感じたりしてすぐに辞めてしまうということが繰り返し起きやすい状況です。
看護職や介護職の方は地元の方がほとんどで、転職するにしても同じ地域内で動いています。そのため、組織の悪評が立つとそれも厄介です。「あそこの法人は行かない方が良い。」という噂がすぐに広がり、さらに人が居なくなる状況に陥ってしまいます。
良い人から辞めていく理由
新規に採用した職員が辞めるのであれば、まだ「うちに合わなかったんだな。」と思って心理的には楽かもしれません。
しかし、人不足の悪循環が恐ろしいところは、長く法人に貢献してくれていた職員、特に真面目だったり、責任感が強い職員に負荷がかかっていく点です。
「人が足りなくて本来やるべきことが出来ていない。患者さんのために自分が頑張らないと。」と無理をして燃え尽きに繋がったり、「人が足りない状況でリスクマネジメントが出来ていない。このままでは大きな事故につながるかも・・・」と思い悩んで辞めるきっかけになったりします。
こういった職員が辞めていくことは、経営的ダメージは大きいです。何より経営サイドにも、現場サイドにも大きな心理的ダメージを与えてしまいます。
定着の施策はそのままリクルート活動の強みになる
「入れても入れても人が辞めていく状態を改善する」、「良い人から辞めていく事態を回避する」の2つの理由からも採用⇒定着ではなく、定着⇒採用の順番が大切なのが分かると思います。
もう1つ、定着⇒採用が大切という理由に、定着の施策がそのままリクルート活動の強みになるということが挙げられます。
定着を進めるには、組織にマッチした人材を採用しなければなりません。組織にマッチした人材を採用するには、人材を選べるだけの応募者がいなければなりません。応募者を確保するためには組織の魅力をアピールしなければなりません。定着施策はその時のアピールポイントになります。
例えば、職員定着のために職員満足度調査を毎年実施して、その結果に基づいて組織改善を行っていく取り組みを始めたとします。それを求人票であったり、リクルートホームページであったり、法人パンフレットに記載します。求職者にとってはそれが応募するかどうかの判断基準の1つになります。
繰り返しになりますが、
- 入れても入れても人が辞めていく状態を改善させる
- 良い人から辞めていく事態を回避する
- リクルート活動のアピールポイントにする
これらの理由から定着⇒採用という発想の転換が人不足の悪循環からの脱出ポイントになります。
次回は定着の取り組みに関しての具体策について考えていきます。
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