今回は前回に引き続き、職員が定着し収益も伸びる病院・介護施設の組織課題別経営改善方法についてです。
前回は、病院や介護施設が抱える組織経営上の課題と対策の方向性の概要と、経営方針やビジョンの浸透に課題を抱えている場合の対策の方向性についてまとめました。
「職員が定着し収益も伸びる病院・介護施設の組織課題別の経営改善方法 その①」はこちらから
今回は残りの医療介護サービスの標準化に課題を抱えている場合と職員のモチベーションに課題を抱えている場合の傾向と対策についてまとめます。
医療サービスの標準化に課題を抱えている場合の傾向と対策
職員によってやり方が異なったり、個人個人の判断で仕事が回ってしまっていたりする状態です。それぞれが勝手なやり方をしている様に見えますが、実はどうするのが正解なのか分からずに不安を抱えながら仕事をしている状況です。
その様な組織は以下の様な特徴が見られます。
・手順や期日が決められてない
間違いが発生しにくい手順や効率的な手順が決められていません。つまりプロセスの管理が抜けています。いつまでにやらなければいけないのかという仕事の期日も不明確です。3ヵ月たっても、半年たっても手つかずにされている業務が発生することもあります。
・改善活動が形骸化している
病院の改善活動と言えばインシデント・アクシデントの報告書が代表的です。これが形骸化することがあります。例えば、改善や対策の欄に「周知徹底」、「注意喚起」といった言葉が連発されていたら要注意です。
また、改善活動が形骸化するとヒヤリハットと呼ばれる、「危ないなぁ。いつか事故が起きそうだなぁ。」という出来事も放置されがちになります。
・職員の力量基準が不明確
業務の標準化がされていないので、職員に求める力量の基準も明確になっていません。キャリアによって各職員の力量に濃淡があって当然ですが、それも把握することが出来ていません。
そのため職員もどういった能力を伸ばしていくことを求められているのか理解できていません。結果、成長意欲が失われるか、自分の好きな事だけをやる様になってしまいます。
医療サービスの標準化に課題を抱えている場合の対策の方向性
- 業務の流れを見える化し、マニュアルや書式の最新版管理をする
- 効果的な改善活動の仕組みを作る
- 必要な力量基準を見える化させる
職員のモチベーションに課題を抱えている場合の傾向と対策
“医療は人なり”という本質の通り、組織に課題を抱えている場合は、多かれ少なかれ職員のモチベーションの問題は含んでいると言えます。
フラストレーションやストレスというレベルから(これはこれで深刻ですが、)、離職率という経営的にも大きなダメージを受ける深刻なレベルまで幅広く考えられます。
モチベーションの課題が深刻な組織は以下の様な特徴が見られます。
・ソーシャルサポートが不足している
ソーシャルサポートとは職場内の支え合いのことです。上司や同僚に困った時はもちろん、普段の何気ない会話のなかでもサポートしてもらえているかどうかということです。
ソーシャルサポートが不足している組織では、上司が困った時に支えてくれない、同僚が相談にのってくれないという気持ちが充満しています。それは、この組織では誰も自分を理解してくれないという気持ちにつながっていきます。
・組織への不信感が強い
病院経営そのものへの不信感と、身近な上司・同僚への不信感に分けられます。
病院経営への不信感とは、ずばり、この病院は将来倒産するのではないかという不安感です。当然このような気持ちがあれば離職につながるリスクとなります。
身近な上司や同僚への不信感とは、一緒に安心して働けないことを意味しており、同様に離職のリスクになります。
・職場の雰囲気が悪い
具体的に言うと、本音で話が出来ない、お互いに助け合おうという雰囲気が無い、溶け込めない人がいても放置されているというような状態です。
・能力発揮や成長の機会が無い
病院の職員は殆どがライセンスをもった専門職です。個人差はあるにしても、専門性を発揮したい、成長したいという気持ちを持っています。
同時にそれらを発揮する機会や成長させる機会が乏しいと意識的にも無意識的にもモチベーションの低下につながってしまいます。
職員のモチベーションに課題を抱えている場合の対策の方向性
- 外発的動機付けと内発的動機付けをうまく活用する
- 上司フィードバックを大切にする
- 成長の機会を作ってあげる
0 件のコメント:
コメントを投稿