職員が定着し収益も伸びる病院・介護施設の組織課題別の経営改善方法 その①

2022年5月10日火曜日

組織課題別解決策 組織経営

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「何となく雰囲気が悪く、職員に活気がない。」

「職員がすぐに辞めてしまうし、業績もじりじりと悪化している。」

「何をどう改善していけば良くなるのか全くイメージが湧かない。」


そんな悩みを抱える中小病院や介護施設は多いのではないでしょうか。

私もその様な悩みを抱えながら働いていた1人です。離職率が20%を大きく超えて、とにかく人が定着しない組織状況を経験しました。


  • 人が確保できないので施設基準を維持できずに収益が下がる。
  • 新規採用を繰り返して採用コストがかさむ。
  • とにかく採用をしないといけないので人を選べない。


そして何より辛いのは離職が離職を呼び、組織風土が乱れていくことでした。ですので、「何をどうすれば好転するのか分からない。」という気持ちは痛いほど分かります。


病院や介護施設に限らず組織改善が難しいのはどこから手を付けて良いのか分からないからです。その組織が抱えている課題に応じて対処方法が変わって来ます。

例えば、「病院(介護施設)の経営方針が分からない。」という声は職員アンケートで良くきかれるものです。その場合は、法人理念から中長期経営計画、年度部署目標までを矛盾なく構築し、しっかりと文書化、周知するところから始めます。方針伝達に関するコミュニケーションを徹底させるのです。


「どこから手を付ければよいのか・・・。」と悩んでいた状況から、1つ1つの改善ターゲットを見定めて適切な改善策をコツコツと行うことで病院や介護施設の経営改善は確実に進みます。


そこで今回は組織が抱えがちな課題のタイプとその対策についてまとめます。

是非明日から取り組んで組織改善を達成しましょう。


病院や介護施設が抱える組織経営上の課題と対策の方向性

冒頭で述べた通り、病院や介護施設それぞれの組織が抱える課題ごとに対策が違うため、組織改善をするためには、まず組織経営上の課題と対策の方向性を理解しておくことが大切になります。

そこで、以下に病院や介護施設が抱えやすい課題とその対策の方向性をまとめました。


この表をもとに課題の組織状態と対策の方向性をまとめていきます。

組織経営上の課題を見える化させるための具体的方法は「組織課題をどうやって見える化させるか」にまとめていますのでそちらをご覧ください。


経営方針やビジョンの浸透に課題を抱えている場合の傾向と対策

経営方針やビジョンの浸透に課題を抱えている状態とは、組織の中で共有すべき価値観や目標を理解できずに、帰属意識や所属感が持てないでいる状態と言えます。

その様な組織は以下の様な傾向がみられます。


・価値観の共有ができていない

価値観の共有は2つの状態に分けることが出来ます。


「知っているか」と「受け入れているか」です。


まず、経営方針や目標を知っているかです。そもそも知らなければ共有は出来ません。経営方針は掲げている、目標も立てている、でも職員への説明が不十分ということが結構あります。

年に何回、どんな機会に、どんな方法でそれらを説明していますか?

そして、それは十分と言えますか?

その見直しから始めましょう。

次に「受け入れているか」です。

経営方針や目標を知っていても、受け入れていなければ共有できているとは言えません。

受け入れているとは、経営方針や目標の達成が職員の価値観の一部になっていて、働く上での判断の際の基準になっている状態と言えます。

「知っている」と「受け入れている」の状態が揃っていなければ、価値観の共有が足りないと言えます。


・意思決定の方針が不明確

誰が決めるのか、責任権限を持っているのかがはっきりしていない状態でも方針は浸透しません。


誰が責任者や担当者なのかはっきりしていなかったり、会議を開いても物事が決まらずにそのまま流れて行ってしまったりする組織は意思決定の方針が不明確といます。


また、仮に決まったとしてもそれをきちんと共有できているかも重要です。


・組織としての凝集性が失われている

凝集性とは、組織への帰属意識が強く、組織のメンバーでいることを好意的に受け止めている状態のことです。所属意識やチーム意識と似たような言葉です。

最近ではエンゲージメントという言葉で表現されたりもします。


凝集性が失われていると、そもそも組織としての土台が崩れていると言えます。


経営方針や目標の達成や遂行に関心が無かったり、部署間の対立や部署内でのいじめやハラスメントなどが見られたりする場合は凝集性が失われていると言えます。


・役割意識が持てていない

人は役割、言い換えると期待を向けられることで前向きになることが出来ます。反対にそれらを与えられないと、そもそも集団の一員としての意識が失われます。


組織からの期待が向けられ、自分たちがどういった意味のある役割を担っているのか理解しているということも経営方針やビジョンの浸透には必要です。


経営方針やビジョンの浸透に課題を抱えている場合の対策の方向性

  1. 経営方針の見える化と伝達方法の確保
  2. 責任権限の明確化
  3. 経営方針のレビュー機会の確保


今回は“経営方針やビジョンの浸透に課題を抱えている場合の傾向と対策”についてでした。

次回はさらにこれらの対策パッケージについて深堀していきたいと思います。


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病院・介護施設・福祉サービス事業所など組織力を高め、「人が集まる組織」、「人が辞めない組織」を作る専門家。 「定着率を2倍にする3つの視点」をベースに、採用・定着に関する仕組みづくりを総合的な組織改善を通してプロデュースしている。  高額でありながら離職しやすいとされる人材紹介サービス会社との付き合い方や対策アドバイスを専門的に行えるのは業界唯一である。

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