改善パッケージを定着させるためのポイント
前回は組織が抱える課題別改善パッケージとして、職員のモチベーションに課題を抱えている場合の改善パッケージをお伝えしました。
今回は、「職員が定着し収益も伸びる病院・介護施設の組織課題別改善方法」の最終回です。これまでお示ししてきました改善パッケージを実行し、定着させるためのポイントをまとめます。
病院の経営改善を進める上でのポイント
改善方針を明確にしても、病院の経営改善がスムーズに進むことはありません。何故なら、「知っていること」と「出来ること」の間には大きなハードルがあり、「定着すること」にも更にハードルがあるからです。
そこで、ここまで挙げた改善パッケージを組織に定着させるために是非実践してもらいたいポイントをお伝えしておきます。
経営トップが方針を示し続ける
人はどうしても忘れますし、言われたことの半分もインプットされないとされています。
従って、組織運営の基本として、大切なことや伝えたいことは繰り返し示し続けることが大切とされています。
どれほど繰り返す必要があるかと言うと、「理事長また同じことを言っているよ。」と言われる位です。
冗談の様ですが、それくらいでないと定着はしません。
「部下には伝えているんだけれども全然浸透しない。」と相談されることがあります。大体が1度方針を伝えたり、文書で周知させたりしているだけというのが原因です。
主体性をうまく引き出す
理論的に完璧な戦略が立てられたとします。
それを実行するための仕組みや制度も現場レベルの細部まで完成しています。
さらに、過去に成功実績も十分にあります。
あとはこの通りに皆で実行するように指示すれば成功間違いなしです。
果たしてこの戦略はうまく行くでしょうか。
恐らく失敗します。表面的に潜在的に組織内に反発の心理が働くからです。
人間には自己決定の欲求があります。
自己決定の余地が無く、全て決められたことだけを実行する様に求められたときに意識的にも無意識的にも反発しようとする欲求が生じます。
これを心理学では心理的リアクタンスと呼びます。
客観的にいくら正しいことであっても、心理的リアクタンスのせいで気持ちがついて来ないということは組織運営上よく起きます。
大まかな方向性や方針を示しながらも、その遂行の過程で職員の自己決定や主体性を取り入れていく幅を持たせながら組織改善を進めていくのが大切です。
習慣になるまで継続させる
勉強でもスポーツでも繰り返しトレーニングをすることで知識やスキルが身について行きます。最初は出来なかったり苦労してやっていたりしたことでも慣れてくれば簡単に出来るようになります。
私たちは子供のころからその様にして色々なことを身に着けてきたのですが、なぜか組織改善になると、習慣になるまで継続するということをおろそかにしてしまいがちです。
「1回やってみたけど効果が無いので辞めた。」、「1年目はやってみたけど、2年目になって自然消滅した。」ということをよく耳にします。
何事も継続は力なりです。習慣化するまで辛抱強くコツコツと継続していくことが大切です。
まとめ
ここまでお読み頂きありがとうございます。
それでは最後に今回のシリーズコラムの重要なポイントをまとめます。
- 組織によって抱えている課題は違うため、課題別に適切な改善策を実施することが大切である。
- 組織が抱えがちな課題は大きく分けて3つあり、それぞれに改善パッケージがある。
- 改善策の定着のポイントは、繰り返し伝えること、主体性を担保すること、習慣化するまで繰り返すことの3つである。
本コラムをお読み頂いて、少しでも組織改善の方向性が具体的にイメージ出来る様になっていれば嬉しく思います。
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