最近はサーバントリーダーシップなどの主体性を引き出すリーダーシップなど、いろいろなリーダーシップ論を耳にします。
世の中にリーダーシップ論は数多くあります。
しかし、私は、どれも正解であり、どれも間違っていると考えています。
何故ならリーダーシップのあるべき姿は相手によって変わるはずです。
本当のリーダーはそれを理解しています。
だから、場面や相手によって関わり方を柔軟に変えていきます。
そもそもマーケティングでは、相手である顧客のニーズや潜在的課題に合わせた提案を行うのが当たり前です。
それなのにリーダーシップ論となると「●●リーダーシップ論」といった1つの独立した理論体系になってしまいます。
自分のリーダーシップスタイルの1つとしては良いと思います。ただ、1つのリーダーシップ論で現場のマネジメントはこなせません。
今回はそれについて想うことを書きました。
人にはそれぞれパーソナリティがある
当たり前ですが人それぞれには個性があります。
心理学ではそれをパーソナリティもしくは人格と呼びます。
心理学的なパーソナリティの分類理論は様々ありますが、今回はそれは本題でありません。
それぞれパーソナリティがあるのだから、それに合わせてマネジメントスタイルを変化させるべきだということをお伝えしたいのです。
以下は、4つのパーソナルという考え方に基づいて説明しています。
例を挙げていますが、実際に私がマネジメントする上で経験した事実に基づいています。
4つのパーソナルとは
4つのパーソナルとは、コーチングの中で生まれたタイプ分けの考え方です。
自己主張と感情表現の2つの軸を基本として、それぞれが「強いか弱い」で分類していきます。
全部で4つの分類になります。
そのため、4つのパーソナルと呼ばれます。以下がその4つです。
① コントローラー(自己主張:強い、感情:弱い)
自分で決めることが何よりも大切で結果にこだわる。決めることや結果を出すことを人間関係よりも優先にしがち。
② プロモーター(自己主張:強い、感情:強い)
アイディアをどんどん出していくことや注目を集めることが大好き。人を巻き込みながら楽しいことをしたいタイプ。
③ サポーター(自己主張:弱い、感情:強い)
何よりも調和を大切にし、人の役に立っているという感覚が大切。自分のことよりも相手を優先にし、Noと言い出せないことも多い。
④ アナライザー(自己主張:弱い、感情:弱い)
理論的に合っているか、ロジックが矛盾していないかということを大切にする。データや事例を重視し、リスクはできるだけ取らない行動をする。
大まかに説明するとこんな感じです。
医療や介護、福祉の領域では“サポーター”が多く、次いで“プロモーター”の様に感じます。
ちなみに私は“アナライザー”です。何も考えないでいるとアナライザータイプのマネジメントをしがちです。
パーソナリティとマネジメントのミスマッチの例
サポータータイプにアナライザータイプでマネジメントをしてしまう
サポータータイプのモチベーションを上げようとフィードバックをしている場面です。
アナライザータイプの上司なので、理論的にいかに正しいかの観点からフィードバックをします。もちろんその根拠となるデータや事例も伝えます。
でもサポータータイプは浮かない表情です。サポータータイプにとって、理論的にいかに正しいかはそれほど重要でありません。むしろ感情を出さずに淡々と説明されると責められているようにすら感じてしまいます。
アナライザータイプにプロモータータイプでマネジメントをしてしまう
今度はアナライザータイプのモチベーションを上げようとフィードバックをしている場面です。
プロモータータイプの上司なので、一緒に楽しもうと感情全開でフィードバックします。「一緒に楽しく仕事したいからどんどんアイディア出してよ。」と伝えたりします。
でもアナライザータイプには響きません。アナライザータイプに“楽しく”といった感情論は刺さりにくいです。むしろ、「上司にとっての“楽しい”とはどういう状態なのだろうか」、「それを引き出すためにはどういった取り組みが効果的なのだろうか。」という分析思考に入ってしまいます。
以上の例は、私が実際に体験し、失敗したことです。
原因は、自分のマネジメントの癖や相手の気持ちを理解せずに、その時の気分や場当たり的に関わってしまったことです。
こういった失敗をしないためには、相手を理解し、多少演技をしてでも状況に応じてマネジメントスタイルを変化させることです。
これを戦略的マネジメントあるいは戦略的コミュニケーションと呼んでいます。
パーソナリティと戦略的マネジメントの例
4つのパーソナルを学んだ私は、相手のタイプを何となくでも推測してコミュニケーションをとるように関わり方を改善しました。
先ほどのサポータータイプへのフィードバックを以下の様に変化させました。
まず自身の行動がどれほど患者さんやご家族の役に立っているかを伝えます。それも具体的行動やデータというよりも、患者さんやご家族の感謝の声などを根拠に伝えるようにします。加えて、部署やチームのみんなにとって自身の存在が重要であることをフィードバックし、これからもサポートして欲しいと伝えます。
先ほどのアナライザータイプへのフィードバックを以下の様に変化させました。と言っても私はもともとアナライザータイプですので普段通りの関わり方と言えます。
まず、結論としてポジティブな評価であることを伝えます。その上で、その根拠となる具体的な事例をいくつか提示ます。加えて、その根拠が客観的な数値で評価されていることも伝えます。
こんなところです。
まとめ
私はこのようにリーダーシップは戦略的に行うべきであると考えています。
実際にマネージャーとしてそのように振舞ってきました。
その振る舞い方のスキルとしていろいろなリーダーシップスタイルを身に着ける必要があるとは考えています。
1つのリーダーシップ論が万能的に機能するとは考えていません。
ただ、冒頭でも述べましたが、本当にリーダーシップが取れている人は、そもそも相手に合わせた関わり方が出来ていると思いますし、何より観察眼に長けていると思います。
そういう意味では、相手をしっかりと観察し、理解すること。
これに尽きると言えます。
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