サービスマネジメントを構成する4つのプロセスとは
組織風土を改善させるのは、経営の根幹であるサービスのマネジメントを確実にするしかありません。
当たり前であるが、医療や介護、福祉施設は様々な専門職が現場でサービスを提供することで事業を発展させるビジネスモデルです。
その人的サービスをしっかりマネジメントすべきと言っているのだから当然と言えば当然です。ただし、本当にしっかりと仕組み化できている組織は少ないのも事実です。
自慢ではないですが、私はこの仕組みをしっかりと根付かせることで、離職率25%以上であった組織が離職率6%以下まで改善する事例を経験したことがあります。
さてそれでは人的サービスをマネジメントする上でのポイントはどこにあるのでしょうか。
実はそのポイントはたった4つしかありません。
究極的には下図の仕組みを組織内に構築すればよいと言えます。
「なんだPDCAじゃないか」というため息が聞こえてきそうです。
その通り、PDCAの運用図です。
ここでのポイントは運用図という点です。
PDCAの知識や考え方は医療介護福祉領域でも広く浸透しています。
しかし、どうやったら効果的に運用できるかまでは考え抜かれていないのではないでしょうか。
形だけのPDCAが横行しているのではないでしょうか。
PDCAを効果的に運用するには、それぞれのプロセスを精緻に設計しなければいけません。
今回のシリーズコラムでは、効果的なPDCAを設計し、人的サービスのマネジメントに活用する方法をまとめます。
その① 方針展開プロセス
まずはPlan(計画)にあたる方針展開プロセスについてまとめます。
方針展開プロセスを構成するのは次の3つです。
- 組織の責任権限
- 計画作成のルール
- 組織資源の管理
それぞれを見ていきましょう。
マネジメントの源となる組織の責任権限
当たり前であるが組織の全体像を描かなければなら始まりません。
そこでまずは組織図を作ります。
組織図を作る時のポイントは、どの役職がどこを管轄するのかというマネジメント範囲を意識しながら作ることです。
次に責任権限を明確にします。
責任権限とは、どの役職がどのような役割を求められ、その役割を果たすためにどのような権限を与えられているのかを明文化したものです。
組織図がマネジメント範囲を意識して作られている場合は、責任権限作成のプロセスに移りやすくなります。
病院を例にとりましょう。
多少の役職名の差はあっても、病院であれば大体決まっていると思います。
- 理事長
- 院長(副院長)
- 事務長
- 看護部長やその他の部長
- 師長や部署長
- 主任やリーダー
- 一般職
多くはこういった感じでしょう。
これらの役職それぞれに責任と権限を明文化していきます。
ここは箇条書きで構いません。分かりやすさや、伝わりやすさを第1に考えましょう。
責任権限を明文化すること、役職者本人はもちろん、周囲からも誰がどのような責任権限を期待されているのかがはっきりします。そして組織運営がスムーズになります。
役職者が機能していないという話の大部分は、本人も周りもどんな責任権限が与えられているのかが分かっていなかったというコミュニケーションの問題と言えます。
参考までに理事長と部長の責任権限の例を掲載します。
マネジメントの羅針盤となる経営計画作成のルール
組織がどの方向に走り出せばよいのかを示すのが経営計画です。
そのルールを明確にします。
基本的には以下の点についてのルールを決めることになります。
- 目標の種類(例:長期経営計画、中期経営計画、年度部署目標 など)
- 目標の作成時期(例:毎年3月 など)
- 対象期間(例:1年間、3年間 など)
- 作成者(役職名を記載する)
- 承認者(役職名を記載する)
- 評価の時期と評価方法(評価の記録を何に残すかも明確にする)
マネジメントを実行するために必要な資源の管理
- 医療機器
- 人材
- マニュアル
- 組織の責任権限
- 計画作成のルール
- 組織資源の管理
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