すぐに実践したくなる、結果が出る経営の仕組みづくり その③

2022年8月23日火曜日

経営の仕組み 組織経営

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すぐに実践したくなる、結果が出る経営の仕組みづくりの第3回です。

前回は、経営の根幹となる3つのマネジメントシステムの2つ目のプロセスとして、サービスマネジメントシステムについて説明しました。

今回は3つ目のプロセスである職員モチベーションマネジメントシステムについて取り上げます。


職員モチベーションマネジメント3つのポイント

「医療は人なり」の格言の通り、病院介護福祉経営の浮沈は職員のモチベーションにかかっているといっても言い過ぎではありません。

基本的には以下の3つに対応していきます。

  1. 等級表を含めた力量の見える化
  2. 研修計画と運用のルール
  3. コミュニケーション

 それぞれ説明をします。

 

等級表を作成し、成長プロセスを明確にする 

等級表というと給与が思い浮かびますが、それだけでは不十分です。

各等級でどんなことが出来る様になることを期待するのか明確にしなければなりません。

例えば以下の基準についてそれぞれの等級でどういったことを期待するのかを考えればよいでしょう。

  1. 業務遂行力
  2. 専門性
  3. 対人関係
  4. 組織貢献
  5. 業務改善

  

立てるべき研修計画を決める

成長プロセスが描けたら、それに紐づけて研修計画を決めます。

まずはどういった研修計画を立てる必要があるのかを明確にしましょう。

例えば以下の通りです。

最低でもこれくらいは必要となるはずです。

これも必ず「年度教育計画書」という形で文書にし、見える化させましょう。

必ず年間で教育計画を立てるという習慣を定着させることが大切です。

 

研修計画の立て方のルールを決める 

研修計画のポイントは、目的と効果確認方法を明確にすることです。

そのためにも研修計画の立て方にルールを設定します。

以下の点を網羅すれば十分でしょう。

 

コミュニケーションの機会を設計する 

コミュニケーションというと、普段の何気ない接し方をイメージすると思います。それも重要なコミュニケーションです。仮にそれをインフォーマルコミュニケーションとします。それに対して今回取り上げるコミュニケーションはフォーマルコミュニケーションと定義できます。

インフォーマルコミュニケーションももちろん重要です。組織風土を構成する大きな要因の1つです。しかし、インフォーマルコミュニケーションを仕組みや制度で戦略的に構築することは大変です。

「普段のコミュニケーションを大切にしましょう」と伝え続けることも大事ですが、個人の性格や価値観、意識に依存する度合いが高いです。

以上の理由から私はまずフォーマルコミュニケーションの構築から着手することが多いです。以下にその手法の一例を紹介します。

 

フィードバックの機会を設定する

これは上司と部下のコミュニケーションの設定です。今回は、人事考課後のフィードバックを取り上げます。

 人事考課は中間期と期末期の2回行われるのが一般的です。できればその両方、少なくとも期末期の1回はフィードバックを実施するようにします。

「人事考課は行っているが、フィードバックはしていない。」あるいは、「給与や賞与をフィードバックと考えている。」という組織がほとんどです。それだけでは不十分です。

良い人事考課というのは、それを通して職員のモチベーションがあがる人事考課です。そのために重視するのがフィードバックの機会です。

フィードバックでは、まず本人の自己評価を訊きます。その後で上司の評価を伝えます。特に双方で評価に差がある部分については丁寧に伝えます。評価に差があるとは、自己評価よりも上司の評価が高い場合も低い場合も含まれます。

フィードバックの際は、まず良くできているところを伝え褒めます。そしてさらに良くするための課題を共有します。この順番を間違えてはいけません。最初にダメ出しをされて、「でも良いところは・・・」と言われてもモチベーションは上がりません。より良くするためにはどうしたらよいかという伝えた方を心掛けます。今後の目標まで共有できれば満点です。

上記の人事考課後のフィードバックを組織の仕組みとして導入し、定着させます。

人事考課のフィードバックの機会が定着すると、職員と面談をすることが何となく上司の習慣になって、抵抗がなくなってきます。

そうすると、何か問題が発生した時、あるいは発生しそうだなという時に自然と上司が面談の機会を設定する様になります。そうしてコミュニケーションの機会が増えていきます。

 

経営の根幹となる3つのマネジメントシステムのまとめ

最後に3回に分けて説明しました3つのマネジメントシステムについてまとめます。


経営方針マネジメント

  1. 理念やビジョンに始まり、個人目標にいたるまでのピラミッド型
  2. ピラミッドのトップから矛盾することなく各目標にブレイクダウンさせることが重要
  3. 経営方針は立てるだけでは意味がない。必ず文書にして見える化させる。
  4. 可能であれ経営幹部による説明の機会を設けるとともに、年始等の要所要所で話題にあげる。


サービスマネジメント

  1. 業務フロー、業務マニュアルと使用書式、管理台帳の3つを整備する
  2. 業務フローには、業務プロセスとプロセス毎の合否判定基準を書く
  3. 業務マニュアルには、作成者と作成日、版数を書いて最新版が分かるようにする
  4. 最後に管理台帳を作成し最新版文書の一覧ができる様にする。

 

職員モチベーションマネジメント

  1. 等級表を作成し、成長プロセスを明確にする
  2. 立てるべき研修および研修計画の立て方のルールを設定する
  3. コミュニケーションの機会としてフィードバック面談を活用する

以上、経営の根幹となる3つのマネジメントシステムの3つ目である職員モチベーションマネジメントシステムについてまとめました。

そして最後に、3つのシステムのまとめを掲載しました。


次回はすぐに実践したくなる、結果がでる経営の仕組みづくりの最終回です。ここまで取り上げてきたマネジメントシステムをどうやって組織に定着させていけば良いのかをお伝えします。

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病院・介護施設・福祉サービス事業所など組織力を高め、「人が集まる組織」、「人が辞めない組織」を作る専門家。 「定着率を2倍にする3つの視点」をベースに、採用・定着に関する仕組みづくりを総合的な組織改善を通してプロデュースしている。  高額でありながら離職しやすいとされる人材紹介サービス会社との付き合い方や対策アドバイスを専門的に行えるのは業界唯一である。

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