すぐに実践したくなる、結果が出る経営の仕組みづくり 最終回

2022年8月30日火曜日

経営の仕組み 組織経営

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すぐに実践したくなる、結果が出る経営の仕組みづくりの最終回です。

前回は、経営の根幹となる3つのマネジメントシステムの3つ目のプロセスとして、職員モチベーションマネジメントについて説明しました。

今回はこれまでにご紹介したマネジメントシステムをどのようにして組織に定着させていくかについてまとめます。

 

経営においてマネジメントを確実に定着させる3つのポイント

医療介護福祉の経営におけるマネジメントで行うべきことはある程度決まっています。

一番労力がかかり大切なのは、それらを確実に定着させることです。


コストカットや人員削減は手を付ければすぐに成果が目に見えます。

カットした翌月にはコストが下がり、利益に跳ね返ってくるからです。

それに比べるとマネジメントの定着には時間がかかりますし、効果も見えづらいです。

 

しかし、取り掛かった瞬間から組織の改善は確実に進みます。

2~3年後には見違えるような組織に変わっているはずです。

それまでは、根気強く確実に定着する様に継続する必要があります。

以下ではその具体的ポイントについてまとめます。

 

経営に関する年間スケジュールを明確にして管理する

まずは経営に関するスケジュール作りから始めます。スケジュールを明確にして共有することで、初めてそこに向かって活動がスタートします。

最低でも以下の3回の活動はあるはずです。

 

経営に関する年間スケジュールの例


目標 イコール 患者数や利用者数、稼働率等の経営数値と捉えられがちです。

間違いではありませんが、あくまで経営数値は最終成果目標です。

経営数値目標を達成するためには、サービスの質が担保されていなければなりません。そのためには、新たなサービスの導入や業務改善、職員教育が必要かもしれません。

場合によっては他部署との連携や外部の関係者との関係構築が必要であったり、サービスの認知度を上げる活動も求められたりするかも知れません。

部署目標とはこれらを全て含んだものであるはずです。

それらを作成する機会と達成度を確認する機会を確実にするためにスケジュールで見える化させるのです。

 

3か月ごとの進捗確認ができれば理想

簡単でも良いのでできれば3か月ごとに達成度確認ができれば理想的です。

4月が年度初めであれば、6月、9月、12月、3月の年4回です。

いわゆる四半期での確認です。

ここでの目的は進捗確認です。

私の経験から、マネジメントシステムの導入初期はとにかく進捗管理ができません。

原因はスケジュール管理を行う習慣がないことにあります。

 

「目標は立てたけど計画は立てていなかった。」

「計画は立てたけど担当者は決めていなかった。」

「担当者は決めたけど期日は決めていなかった。」

 

こんなことがいたるところで発生します。

3か月ごとに進捗確認の機会を作れば、とりあえず3か月単位でのスケジュールが立てられます。

「次までに進めておかないと」と考えるのが人間の心理です。

進捗管理をする側の手間は増えますが、習慣の定着スピードは格段に上がります。

 

しつこく、チェック!チェック!チェック!

多くの組織では、仕組みやスケジュールを作ってもすぐに形骸化してしまいます。

ただ、まれに上位職にチェック魔がいると定着が進んだりします。

3者のチェックの目が入るとなると人は緊張感をもって取り組むものです。

逆に言うと、形骸化は放置した組織の責任であると言えます。

 

強制的にでも報告の機会を作る

先ほどの経営に関する年間スケジュールを表にして張り出します。

各部署に経営に関する年間スケジュールを配布します。

組織の月間スケジュール表に書き込みます。

この様に多くの人の目さらすことによって、チェックする側にもやらなければという緊張感を生まれさせます。

スケジュール管理の担当者をつけるのも有効です。

組織の中には必ず、几帳面でスケジュール管理に向いている人材がいるはずです。

その人物にスケジュール管理を任せるだけでも抜ける可能性は大幅に減ります。

 

内部監査の機会を作る

サービスマネジメントの状況を他部署の管理職に監査させるのもチェックの機会として効果的です。

いわゆる内部監査です。

先述した、業務フロー図、業務マニュアルと使用書式、管理台帳の3つがあれば他部署でも内部監査は可能です。

  •  業務フロー図に従って業務の説明を受ける
  • 業務フロー図に対応したマニュアルの内容を説明してもらう
  • 書式が規定通りに使用されているか確認する
  • 管理台帳で最新版管理が有効に行われているか確認する

 

これだけでも結構なボリュームをチェックできます。

サービスの設計運用のルールを決めているからこういった取り組みを行うことができます。

  •  内部監査をしてみて賞賛すべきと思った事例を必ず1つ挙げる
  • 内部監査をしてみて改善すべきと思った事例を必ず1つ挙げる

この2つのルールを追加すると、内部監査をする側にも緊張感が生まれて有効な監査につなげることができます。ちなみに改善点だけを挙げるようにすると監査される側が嫌な気持ちになるので必ず褒める点も挙げるようにしましょう。

 

導入初期に注意すべき3つのポイント

経営の仕組みは最初から完璧を目指さないことが大切です。

 

最初は簡略化しても構わない

導入初期は皆が戸惑います。

マネジメントなど体系的に学んだことも実践したことも無いので当然です。

私の経験でからですが、例えば導入初年度と3年後の部署目標シートを比較してもこんなに変化があります。


  •  導入初年度の部署目標の例

  • 導入3年後の部署目標の例

構成が格段に変わっていることが分かると思います。

これでも完成形ではありません。

例えば本来の経営方針マネジメントとして以下の点も押さえたいところです。

  •  財務数値目標と患者満足度、サービス向上の取り組みの戦略的関係性
  • 定性的目標についての評価指標の整備
  • 実行計画の精緻化(年間スケジュール、担当者、進捗確認および効果確認の方法)

 

誰が対象であっても初年度からここまで行おうとすると失敗することは目に見えているので、簡略化したものから始めます。

 

効果や効率よりもまずはクセをつける

誤解を恐れずに言うと、質はどうでも良いのでとりあえずフォームに従って作る経験をするのが大切です。

例えば、先ほどの初年度の例で言うと以下の目標が記載されています。

看護部勉強会参加


 私がチェックする立場であれば間違いなく突っ込み、作成し直しを指示します。

  •  どんな内容をどれくらいの頻度で行うのか?
  • 担当者は誰で、スケジュールは組まれているのか?
  • 参加率が高ければ目標達成なのか?
  • そもそも看護部勉強会と患者数の目標は論理的にどう結びつくのか?

 

初年度からここまで突っ込んでいると、完成させるのに1年かかってしまいます。

それでは本末転倒です。

まずは作るだけでOKというところからスタートして成功体験をつみ、少しずつ質をあげていくのがコツです。

 

出来なくてもスケジュール通りに進める

例えば年間スケジュールを表の様に作ったとします。

アウトプットがあまり満足できるものではなく、でも、作成し直しを指示するとスケジュールから遅れそうというどうしましょうか。

立場によって考え方は変わると思いますが、私はスケジュール優先と考えています。

仕組みの導入初期は、とにかく形を身に着けることと、年間サイクルのリズムを習得することが大切と考えているからです。それによって何故これをこのタイミングでやっているのかということも理解できるようになります。

年間目標の作成に半年も使っているようでは、そもそも何のためにやっているのか分かりません。

なにより、スケジュールの後ろ倒しが当たり前になってしまうと、簡単に形骸化が進んでしまいます。

 

継続は力なり。

 

まずは続けることを何よりも優先させます。

 

結果がでる経営の仕組みづくり まとめ

まずは組織の中に経営に関する以下の仕組みを作ります。

  1. 経営方針マネジメントの仕組み
  2. サービスマネジメントの仕組み
  3. 職員モチベーションマネジメントの仕組み


そして以下のポイントを押さえて運用します。

  1.  年間スケジュールを明確にして管理する
  2. しつこいほどチェックをする
  3. 質よりもとにかくサイクルを回す

 

これを続けていけば、経営の根幹となる3つのシステムが定着し、かならずや結果に結びつくはずです。

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病院・介護施設・福祉サービス事業所など組織力を高め、「人が集まる組織」、「人が辞めない組織」を作る専門家。 「定着率を2倍にする3つの視点」をベースに、採用・定着に関する仕組みづくりを総合的な組織改善を通してプロデュースしている。  高額でありながら離職しやすいとされる人材紹介サービス会社との付き合い方や対策アドバイスを専門的に行えるのは業界唯一である。

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